2013/11/27
光の泪に
ごうごうと流れる茅場に
溺れてゆく
光りの泪の中に
振り向く顔がのまれてゆく
凍りの風の中に
揺れる手が離れてゆく
流れの中に
楔打つものを探して
※これはフィクションです。実在の人物団体場所とは一切関係ありません。
2013/10/26
引越四姉妹
四年目の夏、私たち四姉妹は四回のお引越しをしましたの。
一つ目のお屋敷には大きな蔵が一つついてましたの。
ただ壁がぼろぼろで一番上の姉が崩れた蔵の下敷きになってしまいましたの。
それで私たち三姉妹は、すぐにお引越ししましたの。
二つ目のお家には二階に大きな穴が二つ空いてましたの。
大工さんを呼ぶ前に二度目の大雨が降込んで、二番目の姉が穴から流されてしまいましたの。
それで私たち二姉妹は、すぐにお引越ししましたの。
三つ目の荒ら屋は三方を荒れ放題のお庭に囲まれてましたの。
お庭の草花を手懐けようと頑張ったけど三日目に三番目の姉が暑さに倒れてしまいましたの。
それで私は、すぐにお引越ししましたの。
四つ目の街も通り過ぎて四つの季節が巡って
私はどこにも定着できずに、根無し草になてしまいましたの。
※これはフィクションです。実在の人物団体場所とは一切関係ありません。
2013/09/25
私と反省部屋
何をした罰なのか
記憶が定かではないのだが
子供の時分は
反省部屋と呼ばれていた
離れの中の暗い部屋に
よく閉込められていた。
何も無い中に一組だけ置かれた
机と椅子について
陽が明けて暮れて明けて暮れて
どのくらい時間が経ったのか
分からなくなるまで
ぼんやりと過ごした。
大人になって
この家に誰もいなくなってからも
引きこもりの習慣はなくならず
ただ建物の老築化が激しく
床の状態が不安になってからは
ぼんやりと過ごす時間はなくなり
上ってくるたびに部屋の改装をした。
どこからか入りこんだ
招き猫が作り付けた棚の上に
居座るようになって
何かと話しかけてくるので
一人でぼんやり過ごすことも
無心に作業をすることも
このごろは出来なくなている。
※これはフィクションです。実在の人物団体場所とは一切関係ありません。
2013/09/10
2013/09/01
ゆふべの事
ゆふべが追ってくる
ゆふべを背に走る、走り続ける
ゆふべは昨日の境界線
ゆふべの向こうに暗い、暗い時間が見える
ゆふべの呑込んだ過去が見える
ゆふべが迫ってくる
ゆふべを背に走り続ける
※これはフィクションです。実在の人物団体場所とは一切関係ありません。
2013/08/26
さようなら夏
集まるはずだった
初盆の家族写真が
部屋の中に散らばって
積もる芥の中で
何かを待っている。
むくむくと起上がる入道雲と
つかの間の嵐と
頭骨を貫く日差しとが
代る代る
繰返し繰返し
殴打していく。
喧噪の夏が去っていく
※これはフィクションです。実在の人物団体場所とは一切関係ありません。
2013/07/11
fountain of darkness
エロティシズムの表出にも色々な形があると思うんだ。
それは情景だったり、
色や手触り、香りの記憶だったり。
全てが物語に取込まれていく。
ああ、もう4年も経ったのね。
2009年の下書きが思うように着彩できないので描き直し中…
2013/07/07
とりの遠出
とりは
しっとり湿った苔の上で
羽根を休めました。
大好物の
黒い実や赤い実を
食べたくて遠くまで
飛んできてしまったので
へとへとに疲れたのです。
もうひと振りも
羽ばたけそうにありません。
とりは
ころころクッションを敷詰めた
おうちを思い出して
帰りたい帰りたいと
涙をながしました。
※これはフィクションです。実在の人物団体場所とは一切関係ありません。
2013/06/20
二号別邸
二号別邸であなたは
不要品の山に囲われて
暮らしている。
二号別邸のあなたは
裏庭でうらなりの野菜を育てて
暮らしている。
二号別邸にあなたは
大した愛着も感じず
暮らしている。
二号別邸をあなたは
いつか見捨てるだろうと思いながら
暮らしている。
二号別邸へあなたは
それでもいつも
帰ってきてしまう。
※これはフィクションです。実在の人物団体場所とは一切関係ありません。
2013/05/30
母の庭
いちごはひっそり実をつける。
青梅は光の中に。
過剰に注がれた愛情のシャワーで
たわわに実っていたものたちも
いつか枯れていく。
私に何が接げられるというのか。
※これはフィクションです。実在の人物団体場所とは一切関係ありません。
2013/05/29
bowler hat
これはボウラーハットです。
のつもりです。
乗馬はしたことありませんが。
なんとなく作ってみたかったのです。
ツバがくるっと巻き上がってるところなんかを。
もう少し形が良くなるようにパターンを直して
布もお気に入りのものに変えて
仕上げてみましょう。
ではまた。
2013/05/23
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